青黄でいっぱいいっぱい。黒バスにただハマり中。
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今わたしの中でヒソゴン熱が凄くて…。
かつて漫画で描いてたものを、無理矢理小説にしてみました。
やっぱり漫画を小説にするって難しいな…。
特にわたしのシリアス漫画はモノローグとか多いんで…。
興味のある方だけどうぞ。
設定はレオクラの夫婦の間の子、イルミ、キルア、ゴン(キルアとゴンは双子)、イルミの幼馴染、ヒソカ。
パラレルワールドです。
かつて漫画で描いてたものを、無理矢理小説にしてみました。
やっぱり漫画を小説にするって難しいな…。
特にわたしのシリアス漫画はモノローグとか多いんで…。
興味のある方だけどうぞ。
設定はレオクラの夫婦の間の子、イルミ、キルア、ゴン(キルアとゴンは双子)、イルミの幼馴染、ヒソカ。
パラレルワールドです。
別に出逢いはなんてことなかったんだよ。
幼稚園からの腐れ縁の家で、双子が生まれたことは知っていたし、おじさん、おばさんが仲がいいから、ふたりっきりで旅行に行くことも知ってた。
だけど、さすがに一歳ぐらいの双子を置いて旅行に出た、と聞いて。
「手伝いにきてくれ」って腐れ縁に言われて、春休みだったし、僕はふたつ返事でオーケーしたんだ。
子供は嫌いじゃないからね。(子供には嫌われるけど)
そんなある日のことだった。
ヒソカは、幼稚園からの腐れ縁であるイルミの家に向かった。
昨夜、携帯で「とにかく来い」と言われていたので、大変そうだ、と思い、途中で飲み物や食べ物を買ってイルミの家のインターフォンを鳴らした。
「……いらっしゃい」
「……随分お疲れのようだね」
ヒソカ12歳、イルミ12歳。
この年頃の息子を残して旅行に行ったイルミの父、レオリオと、母、クラピカはある意味暴挙である。
「もー大変大変。死にそうだよ」
「おっと」
パス、と言われて寄こされたのは、黒い髪の毛の赤ん坊。真ん丸い瞳が印象的。
上手くキャッチして、腕の中で抱き締める。
「もー、おれ、ガキ嫌いなんだよね。うるっせーし、しつっけーし、あー、くさくさするっ!」
「……」
廊下をずんずん歩くイルミの背中を見て、ヒソカは額に汗をかいた。
確かに、この幼馴染は「面倒なこと」を嫌う。
すると、腕の中にいた赤ん坊が、自分に向かって手を一生懸命伸ばしているのが目に入って来た。
「うー、あ?」
「……★」
…可愛い。
温かくて、柔らかくて、危なっかしいけれど、文句なく可愛い。
「あ、そっちゴンね。ゴンは大人しいから、ヒソカ、ゴンの面倒見て」
「え?」
イルミの後を追って廊下を進むが、イルミがしれって言って来た。
「…僕は手伝いに来ただけだけど…?」
「固いこと言うなよ。おれこのまま面倒見てたら、確実にふたりとも殺しちゃいそうだもん」
(鬼だな…)
「あ、泣いてる!!」
廊下の向こうからぎゃあぎゃあと泣いている声に、「面倒くさい」と言いつつ、それでもイルミは反応した。
(どうしたものかな…)
イルミが走ってリビングのほうに消えていったのを見て、ヒソカは軽くため息を漏らしたが。
「うー?」
ゴンが心配そうにヒソカを見上げてくるので、自然、笑顔になった。
「よろしくね? ゴン」
ゴンの頬に自分のそれを擦りあわせ、ヒソカはまずはゴンの警戒心を解く方向に頭を進めた。
「はい、こっちがキルアだよ」
紹介されたキルアは、ついさっきまで泣いていたからか、機嫌が悪そうだ。
ヒソカを睨み付け、涙目で「だれ?」と訊いている。
「へー、よろしく、キル…」
がぶっ!
ヒソカが頬を撫でようとした瞬間、キルアに指を思いっきり噛まれてしまった。
時間が氷る。
「……ほーんと、殺したくなるだろー?」
「ど…。どってことないさ…」
威嚇しているキルアの前で、腕に抱いたゴンを恐がらせないよう、笑顔のまま噛まれた指を空中で振った。
「子供としては当然の反応だよ。僕子供からはあまり好かれないし…」
そう言いながら、煙草を取り出し、口に咥える。
ほかの子達よりも、若干精神年齢の高いヒソカは、12のときですでに煙草を酒肴品としていた。
子供には好かれない。
そう思っていたのに。
「…ゴンはヒソカのこと気に入ってるみたいだね」
「……珍しい子だね」
ゴンが煙草に興味を持って、きゃっきゃっ、と、煙草に手を伸ばすので、煙草を持っていた手を上に伸ばして、届かないようにする。
「これはだーめっ」
宥めるように言うと、ゴンは嬉しそうに笑った。
そんなワケで、僕はおじさんおばさんが帰ってくるまでの3日間、双子の内のゴン(大人しいほう)と生活することになったんだ。
初日は正直大変だったよ。
赤ちゃんの世話なんて初めてだったし、夜泣きで寝不足。
抱っこしてれば泣かないのに、ベッドに寝かせると泣き出して、抱き癖をつけちゃったんじゃないかって、本気で心配だった。
だけどやってみると、結構楽しくってね…。
「あれ?」
2日目の朝、イルミがゴミ箱から煙草を発見した。
まだ中身はたくさん入っており、キルアを人形であやしながら、ヒソカに問い掛ける。
「ヒソカ、煙草捨ててあるよ。まだ中身入ってる」
「うん。やめたんだ。ゴンの身体によくないからね」
「ふーん…」
その頃ヒソカは、ゴンを絨毯の上に置いて、這い這いを挑戦させていた。
ゴンがヒソカをだいぶ気に入っている、というのがヒソカにも伝わってきていたので、ヒソカはゴンに夢中だった。
「ゴン、ゴーン。こっちだよ★ こっちこっち★」
ゴンがよじよじとヒソカに近付き、ヒソカは自分の足元にきたゴンを抱き上げる。
「はーい。いい子だねー★」
「あー! う!」
ゴンもご機嫌で、ヒソカに向かって手を伸ばしてきた。
「うー、あ?」
「ヒ・ソ・カだよ。僕はヒソカ」
なんとなくニュアンスで、自分がゴンの名前を頻繁に呼ぶからか、ゴンが自分の名前を知りたいのだろう、と思ったヒソカは、ゴンに判り易いように、区切って自分の名前を言う。
「ひー…か? ひーか!」
ゴンは嬉しそうにきゃっきゃっとはしゃぎ、ヒソカにぎゅう、と抱き付いてくる。
本当に可愛くて、ヒソカも心から笑った。
3日目の夜、レオリオとクラピカが帰ってくる頃になると、ゴンはヒソカにべったりだった。
「ただいまー! 土産あんぞー!」
「今戻ったぞ」
玄関から聞こえてきた声に、ヒソカはゴンを抱き上げて、失礼のないよう、立って迎えに出た。
そのあとを、イルミがキルアを抱えてついてくる。
「お帰りなさい、お邪魔してます」
「お! 久し振りだな、ヒソカ!」
「どこ行ってたんです?」
「北海道で釣り三昧よ! カニ、エビ、ウニ、全部買ってきたぜー!」
「大迷惑ー」
レオリオとヒソカの会話に、イルミが文句をつける。
そう言えば、イルミの限界スイッチまで「あと二時間」とぶつぶつ呟いていたのだ。
そこに、イルミの頭を軽く叩きながら、クラピカが会話に参加してきた。
「ヒソカ、手伝いに来てくれてたのか?」
「はい★ 結構楽しかったですよ?」
「うわー…! すまないな。夕飯食べていきたまえ」
「いえ、いいです。明後日から学校だし、もう帰りますよ」
イルミたちの両親が戻ってきたことで、少々寂しいとも思ったけれど、またゴンに逢いに来ようとは思っていたので、一先ず一旦帰ろう、とヒソカは思った。
ゴンをクラピカに渡し、ヒソカは玄関に向かった。
これから先は、家族水入らずの世界だと、12歳ながらも聡いヒソカは思っていたのだ。
ゴンを胸に抱いたクラピカが、玄関まで自分を見送りに来てくれたので、ヒソカは軽く頭を下げた。
「じゃあ…」
「本当にすまないな」
「いえいえ。いつでも呼んでください★」
そして、視線をゴンに向け、視点までも、ゴンに合わせる。
「ゴン、またね☆」
その途端。
不思議そうな顔をしていたゴンの顔が歪んだ。
「う……う…」
「?」
うぎゃああああああああああああんんん!!
盛大な泣き声。
驚いたよ。
3日間、オムツ以外のことで泣かなかったゴンが、僕が行くのを理解して泣き出すなんて。
(しかもおばさんの胸の中で!)
「ゴン…」
自然と手が伸びた。
クラピカも拒否しなかった。
ヒソカは自分の腕の中にゴンを取り戻し、泣いている瞳に柔らかく口吻けする。
「ゴン…大丈夫だよ…? また来るから…」
「ひーか! ひーか!!」
「またすぐ来るよ…。絶対。ね?」
またすぐ来るよ。
約束だね。
それから、僕は特別な用事のない日は、ほぼ毎週末ゴンに逢いに行った。
帰り際はいつも大泣きしてたけど、泣き疲れて眠っちゃうんだ。
イルミは呆れてたけど、僕が来ない日は夜泣きがひどいらしく、彼も協力的だった。
そうやって何年も過ぎて、ゴンがあの頃の僕の年に近付いた頃…。
「ねえ! ヒソカ!」
「なんだい?」
ある日の週末。
そのときヒソカは小学校の教師をしていて、土日は完全に空くので、ゴンと自宅マンションで逢うことが増えていた。
けれど、その日のゴンはひどく思い詰めたような顔をしてきて、ヒソカに切羽詰ったように声をかけてきた。
「…えっとさ…。……ヒソカ、好きな人、いる?」
スキナヒト?
「いないよ?」
ゴンでもそんなこと考えたりするんだ…。
ああ、大きくなったんだなあ、と感慨深く思い、くすり、と笑った。
その返答にほっとしたような表情を浮かべたゴンが、今度は先ほどより真剣な顔付きになり、言葉を並べてくる。
「じゃ、じゃあさ…。ちょっと、耳、貸して!」
立ったまま会話をしていたので、ゴンがヒソカに少し屈んでくれ、と要求してくる。
ヒソカはゴンの言うことはなんだって叶えてきたので、そんなことぐらいでは、疑問に思うより早く、腰を少し屈めた。
ゴンが急いでつま先立ちをすると、ヒソカの耳元に自分の両手を添えて、
「おれがヒソカのこと…、好きになっちゃ、だめ?」
え?
驚いて目を見開いた。
まさにセイテンノヘキレキだ。
どう取るべきか、と思い、ヒソカはゴンと視線を合わせるために、その場にしゃがみ込んだ。
「……そりゃ、僕もゴンのこと好きだし…」
「本当!?」
「だって、ゴンのこと、本当に弟だと思ってるぐらいだよ」
傷付けないように。
そう思って口にした言葉に、ゴンが一瞬で瞳を潤ませた。
「違うよ!」
ヒソカの大きな背中に、回りきらない腕で確りとしがみ付いたゴンが、切ないぐらいに悲しい気持ちをぶつけてくる。
「母さんが父さんを好きなように、ヒソカが好きなの! だから、弟じゃやなんだよ!!」
抱き締めるか否かで迷ったヒソカの腕が、途中で止まった。
ゴンの肩が、細い肩が、震えていたのだ。
こんな小さな身体に、どれだけの思いをこめていたのだろう。
「………だめなの…?」
可愛い。
可愛い、「友達の弟」だと思ってた。
それから、「可愛い僕の弟」だと思ってた。
可愛くて可愛くて仕方なかったんだ。
「く…。くくく…」
「え…?」
ヒソカは急片手でゴンを抱き上げると、大声をあげて笑い始めた。
「あはははは!」
「うわあ!」
「あははははははははは!!」
急な展開についていけないゴンが、この行動の意味を計りかねているようだ。
けれど、昔のように抱き上げられて、結局は年の離れた「弟」なのかと、今度は投げやりな気持ちになっていく。
「なんだよ! 降ろしてよ! もう子供じゃないんだから!!」
「子供でも、なんでも…」
確りとゴンを自分の胸に引き寄せ、ヒソカはその額に軽くキスを施す。
甘い、甘い、キス。
「…ゴンを抱っこするのは、昔から好きなんだ」
……それから、ゴンにもちゃんと自分の気持ちを理解してもらえるように、唇にキス。
それまで僕は。
自分で言うのもなんだけど、結構勘の鋭いほうで。
それが自分の関係していることなら尚更。
でも、ゴンの僕に対する気持ちに気付けなかったことや。
自分のゴンに対する「可愛い」と思っていた真意を理解出来てなかったことを考えると。
全然鈍いのかも知れない。
可愛くて可愛くて。
仕方なかったんだ。
「好きだよ」
ゴンが自分の唇を驚いて隠している表情を見ながら、ヒソカはやっと辿り着いた答えのように言葉を紡いで行く。
神聖な誓いのように、ゆっくりと。
祈りのように真摯に。
「ゴンに言われて、今、僕も気付いたけど。間抜けだね」
片手で充分に抱きかかえられるぐらい、身長なんて自分の半分ぐらいのゴン。
でも、想いはきっと、だれより清くて、だれより大きい。
「多分ね、結構前から、ゴンのこと好きだったよ」
「結構前って…。どれぐらい?」
ああ、そうだね。
そこ、疑問に思うだろうね。
でも重要なのはそんなことじゃないのに。
両思いなんだよ、もっと無邪気に喜べばいいのに。
そんな思慮深さも、魅力のひとつなんだけど。
「忘れちゃったよ…」
出逢いはなんてことなかったんだよ。
君が僕を選んで、
僕が君に敵わなくて、
君のために僕はなんだってしてきた。
気付いたらもう十年も。
それだけだけど。
ああ僕は、本当に全然鈍かったんだね。
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